2015年1月25日、国際アンデルセン賞受賞記念/第2回河合隼雄物語賞・学芸賞記念講演会として
上橋菜穂子さんの講演会が行われました。
第1部の上橋さんの講演では、
国際アンデルセン賞を受賞されたときの体験や
上橋さんの子ども時代からのお話、
好きな文学作品についてなどのお話を
ユーモアたっぷりにお話しいただきました。
90分の講演時間中は終始笑いがたえず、
会場全体が上橋さんのお話につよくひきつけられていくのがまざまざと感じられる希有な空気がありました。
上橋さんのお話は、一方向から伝えられるメッセージとは異なり、
物語のもつ力、物語を通して生きること、その本質について
それぞれが、さまざまに思いをめぐらせることを許してくれるような、
広さと深さ、あたたかさがあります。
上橋さんの作品は幅広い読者層をもつものと思いますが、
上橋さんご自身は「児童文学」の「児童」という表現にはこだわりはなく、
「物語」を書いているのです、というお言葉はたいへん印象的なものでした。
後半は、臨床心理学者の岩宮恵子さんとの対談です。
同世代のお二人の「女子オタクトーク」は盛り上がること、盛り上がること。
漫画家になりたかった、好きな漫画家さんが同じ、など
たくさんの共通点のあるお二人は実は控え室から大盛り上がりで
会場にもそのまま笑いをとどけてくださいましたが、いっぽうで
人間はしあわせをとどめがたく、それでも、だからこそ
物語の多層性に騙され、困惑し、楽しみ、豊かになって生きていくのだ、
というような、じっくりと身にしみる対談になりました。
ご参加の皆様からたくさんのご感想をいただいたのですが
こんなにおもしろい話を聞けるなんて、あっというまに時間がすぎた、幸せな気分になった、
「本物」に触れる喜びを感じたなど、
皆様それぞれに豊かな時間を過ごしていただいたようです。
会場では、河合隼雄がフルートを演奏した曲をBGMに
河合隼雄財団を紹介するスライドショーも上映いたしました。
今回の講演会ではたいへん多くの方にお申込をいただき、
すべての皆様をご案内することがかないませんでした。
キャンセル待ちをしてくださった皆様にはたいへん申し訳ございませんでした。
河合隼雄財団では、ひきつづき、人々の心を豊かにするような
文化事業を企画してまいります。
今後ともぜひご関心をお寄せください。
寒い中、お越しくださった皆様、ありがとうございました。
(サイン本をご準備いただきましたが、あっという間に売り切れました)