第158回芥川賞が先日、発表になり
若竹千佐子さんの『おらおらでひとりいぐも』と石井遊佳さんの『百年泥』が同時受賞となりました。
若竹さんはたとえばこちらの記事のプロフィールにも河合隼雄を愛読書として
あげておられますが、河合隼雄の熱心な読者であられたようです。
この作品のテーマでもある「老い」は、河合隼雄もたびたび著作の中でとりあげてきたものです。
『「老いる」とはどういうことか』(講談社プラスアルファ文庫)
『こころと人生』(創元こころ文庫)
などは代表的なものでしょうか。
文春オンラインによるロングインタビュー
芥川賞受賞・若竹千佐子インタビュー「子どもよりもまず自分。経験を重ねてわかったこと」
では、作品に基づきつつ、老いや生き方、人生について若竹さんが語っています。
どのように人生の後半を生きていくのか、という課題はユングが考えていたことでもありました。
平均寿命が高くなり、高齢になっても全く年齢を感じさせない活躍をされる方が増えている現在、
この問いはますます大きく私たちの前に立ちはだかっているようにも思えます。
このインタビューの最後には
「人は自分のために生きるとき、いちばん力を出せる」という河合隼雄の言葉が引かれます。
若竹さんが自分の思いに正直に書かれた作品だからこそ、このような素晴らしいものになったのでしょうか。
若竹さんが河合隼雄の愛読者でいらしたことによって
このような素晴らしい作品の中に
河合隼雄の考えていたことのエッセンスが形を変えて
伝えられていっているのかもしれない・・・と僭越ながら期待してしまいました。
若竹千佐子さん、芥川賞受賞、本当におめでとうございます。