河合隼雄の『イメージの心理学』は、
青土社の伝説の雑誌『イマーゴ』の創刊号(1990年1月)から
1年間連載されたものを1冊の本にまとめられたものです。
それからちょうど30年経た2020年4月下旬、新装版としてよそおい新たに、
青土社から復刊することとなりました!
表紙のイラストやデザインは1991年版と変わらずそのままに、
ですがソフトカバーになった分、ちょっとばかり軽量化が実現(笑)。
さらに、今回の新装版には、詩人で河合隼雄の盟友である、
谷川俊太郎さんによる「新装版へのあとがき」も寄せていただいていています。
谷川俊太郎さんが生や詩について、
「今」感じておられるイメージについても読者が触れることができる貴重な機会となっています。
本書は、心理学にとって極めて重要だと河合隼雄がずっと考えてきた、
〈イメージ〉について、いろいろな角度から考察されています。
谷川俊太郎さんはその「新装版へのあとがき」で、
「河合さんの本は難解ではない」と書いておられます。
うん、確かに、河合隼雄は一見平易な文体と語り口で言葉をつむいでいきます。
しかし、意味を超えた〈存在〉としてのイメージというもの、
つまり言葉で描き出すにはたいへん難解なイメージについて、
河合隼雄が多様に、多角的に、多層的に考察していきます。
さらには、「科学的な因果律」と「元型的布置としての共時性」の両方の視点の重要性、
日常語とも詩的言語とも科学的言語とも異なる「深層心理学の言語」
(つまりこころの深みに関わる言語とでもいうべきでしょうか)
についてなど、各章でとりあげられるテーマは、
困難な時代の課題に取り組む今の私たちにとって、
「個を通じて普遍へ到る道」(p.199)という大切なイメージの深みにつながっていくように思えてなりません。
この機会にぜひ、はじめての人も、かつてすでに読んだことのある人も、
この本を手にとってみてほしいと思います。
今また新しく、自分にとって大切な言葉とイメージに出会うきっかけになるのではないでしょうか。
青土社のHPはこちらから→http://www.seidosha.co.jp/book/index.php?id=3427