今日6月23日は河合隼雄の誕生日です。

雨男と言われた河合隼雄らしい季節を迎えました。

 

例年同様、河合隼雄の誕生日を期に、

この1年で出版された河合隼雄関連の本をご紹介します。

 

 

まず昨年7月に、

別冊太陽『河合隼雄 たましいに向き合う』(平凡社:河合俊雄監修)が出版されました。

河合隼雄の半生の記録や著作から辿る軌跡、

さらに多彩な執筆陣を迎えて寄稿やエッセイに加え、

奥様やご家族、各所から提供されたさまざまな写真が、

河合隼雄その人について様々な角度から多く深く語っています。

ちょうど河合隼雄の十七回忌にあたっての出版となり、

河合隼雄にゆかりの方々にとっても特別な一冊となりましたが、

これまで河合隼雄に触れる機会のなかった人々にも

河合隼雄の言葉が届くきっかけになりました。

 

今年の2月には、

『カウンセリングを語る』(角川ソフィア文庫)、

続いて、

『こころの天気図―「自分」を知る146のヒント』(PHP文庫)

の2冊が文庫化されました。

 

『カウンセリングを語る』は、

1965年にスイスのユング研究所からユング派分析家の

資格を取得して帰国した当初から行ってきた、

四天王寺人生相談所の「カウンセリング研修講座」の

20年にわたる講演の記録を精選したものです。

若松英輔さんの解説とともに、カウンセリング、

カウンセラーという言葉が広く知られるようになった現在、

あらためて「原点」を通じて、その深みを問い直すことの重要性を実感します。

 

『心の天気図—「自分」を知る146のヒント』は、

詩人で童話作家の工藤直子さんが聞き手となり、

河合隼雄が自由に語るのを「聞き書き」したもので、

「自分を含む人のこころのわからなさ」をわからないままに、

しかし、そのわからなさに耐えてどこまでも付き合っていく姿勢の大切さや

こころとのつき合い方の神髄の、さまざまなヒントがちりばめられています。

 

先月の5月には、

『日本の最終講義 学級の極み』(角川ソフィア文庫)

河合隼雄の京都大学での最終講義「コンステレーション」が収録された、

2022年の『日本の最終講義 増補普及版』が早くも文庫化されました。

 

また、近年続々と中国語に翻訳されて出版が続いていますが、

この1年では、

『「老いる」とはどういうことか』

『家族関係を考える』

『いじめと不登校』

そして、先日6月には、岩波現代文庫の〈物語と日本人の心〉コレクションの

『昔話と現代』『定本 昔話と日本人の心』『源氏物語と日本人』『神話と日本人の心』

 の4冊も出版され、これで〈物語と日本人の心〉コレクション全6冊が

中国語で読めることになりました。

 

これからも、河合隼雄の多様な思想が世界の、

現代日本のさまざまな人々に届くことを願ってやみません。