今日7月19日は河合隼雄の命日です。
2007年に亡くなったので、今年ではや17年になります。
それにもかかわらず、多くの著書が版を重ね、
また今年になってからも『こころの天気図』が新装文庫化され、
『カウンセリングを語る』が1冊のかたちで文庫化され、
『中空構造日本の深層』が神話学者の吉田敦彦氏との対談などを加えた増補新版で出版されたように、
多くの新しい読者に河合隼雄の著作が届いていっているのはうれしいことです。
亡くなるといえば、昨年の11月26日に河合隼雄の次男、
河合幹雄が闘病のかいなく、あの世に旅立ってしまいました。
享年まだ63歳でした。
3人の息子のなかでは、
河合隼雄に一番風貌も性格も似ているという評判で、
同じくフルートを(同じくホラも?)吹いた幹雄ですが、
こころの闇と取り組んだ父の隼雄とは異なって、
社会の闇の方に興味を抱いて、
独特の視点から社会事象や制度を分析していく法社会学者として活躍していました。
専門書にもかかわらず『安全神話崩壊のパラドックス』(岩波書店)は15刷りを重ねています。
「日本の犯罪、宗教、思想について、輪廻の観点から書いてみたい」
と幹雄は話していたそうで、
河合隼雄の日本論からの新しい展開としても期待されるものでしたが、
残念ながら構想のままにとどまりました。
今年の11月3日に大澤真幸氏、山極壽一氏を迎えての
第12回河合隼雄物語賞・学芸賞記念講演会:河合幹雄追悼シンポジウムの際に、
これまで時事問題について鋭い視点でWEBRONZAに投稿してきた論集が、
遠見書房から出版される予定です。
お別れ会で弟の成雄が、
「幹雄の異色の思想は、家族、三兄弟との語らいの中から生まれたのではないか」
と述べていましたが、もうすぐ初盆を迎える幹雄は、
きっとあの世で父・隼雄と楽しく語り合っているのではないでしょうか。