新年あけましておめでとうございます。
全国的にさわやかな晴天に恵まれたようです。
2025年の今年の干支は、巳年。
へびは脱皮を繰り返すことから、「生命力」や「再生」を象徴するとか、
「巳」の原字が、子宮が胎児を包む様の「包」の中と同じであることから、
植物の種子ができ始める時を示す、などとされているようです。
東アジア圏でも、へび(巳)がウロボロスを象徴するとは不思議ですね。
さて、河合隼雄と「へび」といえば、(少し強引かもしれませんが)、
異類婚の「蛇女房」のことが思い起こされます。
河合隼雄は『昔話と日本人の心』〈物語と日本人の心〉コレクションⅥ(岩波現代文庫)
第6章「異類の女性」の中で、日本の昔話のなかの異類女房譚をとりあげつつ、
西洋とは異なる日本人の意識、主体のあり方の特徴を描き出しました。
その中に「蛇女房」「蛇婿入」も登場します。
異類との婚姻譚では、西洋の昔話のハッピーエンドとは異なり、
日本の昔話では別れなどの悲劇的な結末になっていくことがしばしば指摘されます。
しかし河合隼雄は
「異類婚譚における「異類」を人間に対する「自然」を表わすものと考えてみてはどうであろうか」(p210)と、人間の心の中の人と自然の関係の困難さとしてとらえていきます。
「人間と自然との関係」は、現代社会を生きるわれわれにとって
今後ますます大事であり困難な課題となっていきますが、
河合隼雄がいかに考えようとしていたか、
本書にはその思想の軌跡が記されています。
2025年は、「へび・蛇・巳」のもつ生命力と自然のイメージに導かれて、
われわれ社会のあり方について考えを深めていかれる年にしていけたらと願わずにいられません。