日本経済新聞の「半歩遅れの読書術」
かつて、河合隼雄もたくさんの寄稿をしていたこの読書欄、
5月11日に中西寛氏が寄せた文章の中に、河合隼雄の著書がとりあげられています。
国際政治学者である中西寛氏は、
京都の辻々のお地蔵さんにみられる
日本人の信仰心のありようを捉える中で、
それを的確に捉えたラフカディオ・ハーンに共感を示します。
このハーンに対する理解を助けてくれたのが
河合隼雄『ケルトを巡る旅 -神話と伝説の地-』(講談社+α文庫)であるとのこと。
この本には、河合隼雄がキリスト教以前のケルト文化が残るアイルランドを旅し
そこで感じたことが記されています。
妖怪や幽霊のような存在、
自然と共に生きるケルトの文化には
日本と似たようなお話がたくさん残っている。
中西氏は、ハーンが路傍の六地蔵に日本の民間信仰における至高の麗しさをみた背景に、
こうした精神があったのではないかと述べています。
中西氏は、2014年1月に行われた
「上廣フォーラム~日本人の生き方 「わが先人・師を語る」 京都大学知の伝統」において
河合俊雄代表理事、河合雅雄氏と並んでご講演を行った方でもあられます。
中西氏の本質を捉えた論考のすばらしさはもちろんのこと、
京都大学の知の伝統がこのようにしてつながっていくのだと
感じさせられた記事でもありました。