6月29日放送の日本テレビ NEWS ZEROの中で河合隼雄の『出会いの不思議』が紹介されました。
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芸人で作家でもある又吉直樹さんの「働く。」のコーナー、
今回は、本のソムリエとも言われるブックディレクター、幅允孝さんを訪ねるという回でした。
動画はこちらからごらんいただけます。
このコーナー、又吉さんが、東京 表参道にあるHISが運営する本屋さんをたずねるところから始まります。
本屋さんといっても、とってもスタイリッシュで、コーヒーショップでもあり旅行代理店でもあるというこの店舗。
コーヒーを飲みながら旅に関する本を楽しみ、そして、旅行の申し込みまでできるという、
「旅」というコンセプトを楽しめるお店になっているのがとても印象的です。
そこで本の選定や陳列を行っているのがブックディレクターの幅さんです。
梅雨時ということで、色をテーマに並べられた本は、
本当に鮮やかで、思わず手にとってしまいそう。
幅さんと共に、全国の書店に販売していく本が約10万アイテム(600万冊!)集められた日本流通販売の
倉庫を訪れた又吉さんは、「仕事」をテーマに本を選ぶことになりました。
本のプロであり、大の本好きの又吉さんといえども、文字通りの「山」の中からテーマに沿った本を選び出す難しさにとても苦労されています。
幅さんが選んだ13冊の中に、河合隼雄の『出会いの不思議』がありました。
仕事とは、全部なにかとの出会いだから、と選んでくださった一冊です。
この本は、出会いに関する短い文章が集められたものなのですが、
まさにこの本の中に、ブックディレクターさんのお仕事にも通じるところがありましたのでご紹介。
p.30 「おもしろがることで伝染する」
河合隼雄は、京都大学の「サル学」が独創的なものとして国際的評価を得た理由について
数学者の森毅さんの言葉をひいてきます。
「学問というものは、「伝承よりは、おもしろがることで伝染するものだろう」」
「今西(錦司)さんは自分の学問を後継者に伝承する気などない。「おもしろくてたまらぬ」から研究をする。
その傍にいる者に、その「おもしろさ」が伝染する。
すると、たとえば梅棹さんは自分がおもしろいと思うことをするわけで、別に今西さんの真似をするのではない。
このように、各人が自分の個性に従って独創的なことをするが、グループとしての相乗効果をもつことになる」
これは、幅さんが上述のHISの本屋さんで
買ってもらうのではなく、手にとってめくってもらえればいいと思っているとおっしゃっていたことにも通じるように思います。
本が売れない時代だから、本を売ろう、というのではなくて、
本をおもしろがっている人がつくる空間に、本をおもしろがる人が集まって、それが波及していく・・・
河合隼雄財団の活動もそんなふうに、おもしろいなーと思っていただける方々から自然に広がっていくといいなあと思います。