河合隼雄の言葉、本人はそのつもりがなかったと思いますが、「名言」化しているものが

結構あるようです。

 

財団でツイッターを始めてみて、一番びっくりしたのはそのことでした。

おそらく、ざっと見ただけでも有意に多くつぶやかれているであろうと思われる言葉が

「最近の人はみんな何かしなければと思いすぎる」というものです。

 

 

この言葉を、去る7月19日、にいがた県民FM Morning Gate様の日替わりコーナー「ことばのこばと」の中でとりあげていただきました。

 

これは元々谷川浩司さんとの共著書『無為の力―マイナスがプラスに変わる考え方』(PHP研究所、2004年)に掲載されていたものです。

(後、2008年に『「あるがまま」を受け入れる技術―何もしないことが、プラスの力を生む』と改題〈PHP文庫〉)

河合隼雄は中空構造論において、日本神話において無為の神が中心にあることを指摘し、そこから日本人論を展開しました。

無為というのは仏教用語で「常なるもの」を意味し、有為(うい)が「つくられたもの」を意味するのと対照的関係にあります。

 

河合隼雄の言葉は、現代人は忙しく、「何かをしなければ」「意味のあることをしなければ!」という思いばかりが先に立ち、

そもそものあるがままの状態としての平常のステータスの重要さを忘れているのではないかと述べようとしたものといえるかもしれません。

「何か」は、「何もない」があるからこそ生まれてくるもの・・・

と、わかっているのですが、ついつい追い立てられるように何かやるべきこと、やりたいことを探してしまうのが現代人の性なのかもしれないですね。

 

中空構造