河合隼雄の主著に『明恵 夢を生きる』(京都松柏社、1987年 後に講談社+α文庫)があります。
これは、鎌倉時代の高僧、明恵上人の生き方についてその夢を中心に読み解いたもので
現在でも高い評価を受けています。
仏の道を清純無私に生き、その当時にあって夢日記をつけつづけた明恵は
河合隼雄にとって唯一ともいえる師であったと思われます。
高山寺はこの明恵上人の教え、生き方、自然を、まさにそのままに残しているきわめて希有なお寺です。
時代の変化、周囲の人々の変化によらず、その場所をあるがままに保っていくことは
きわめて地道で、信念や意志を必要とすることでしょう。
5月の新緑の季節、深い木々とみずみずしく若い緑の光に包まれて静かに座っているだけで心が穏やかに清らかになるような、
特別な場所がそこにきちんと守られてありました。
写真は石水院の縁側に座る国際分析心理学会、前会長のJoe Cambrayご夫妻と共に。