先日(10月1日)日本経済新聞夕刊書評欄にて紹介された
河合隼雄 『河合隼雄の幸福論』(PHP研究所刊)をご紹介します。
これは「しあわせ眼鏡」と題された新聞連載がもとになった本です。
新聞連載がもとになっているので、短くて読みやすい文章が集まって一冊の本となっています。
「ちょっと眼鏡をかけ変えることによって、異なるものが見えるように、少し見方を変えることによって、幸福が身近になる、ということがありそうである」
(本書「はじめに」より引用)
とあるように、幸福、しあわせといった身近でありつつ難しいテーマを考える際に
ちょっとしたヒントになるような題材がつまった本になっています。
河合隼雄の著書は読み物的なものから学術的なものまで幅広くありますが、
本書はその中でも特に、読みやすくわかりやすく書かれたものといえるでしょう。
とはいえ、ハウツー本のようなわかりやすさとは異なるのが
本書「はじめに」にある次のような文章にも表れているのではないでしょうか。
少し長いですが引用してみましょう。
「考え、考えしながら、いろいろな人にお会いしていると、
『幸福というのが、そんなに大切なのだろうか』とさえ思えてくる。
ともかく、それは大切であるにしても、
幸福を第一と考えて努力するのは、あまりよくないようである。
結果的に幸福になるのは、いいとしても、
はじめから幸福を狙うと、かえって的がはずれるようなところがある。
『幸福』というのは、何だかイジの悪い人物のようで、
こちらから熱心に接近していくと、上手に逃げられるようなところがある。」
10月1日日本経済新聞夕刊では、サイエンス作家・竹内薫氏によって★5つの評価をいただきました!
残念ながら有料会員の方のみですが、WEB版の記事は下のリンクからどうぞ。