上廣倫理財団編『わが師・先人を語る1』が弘文堂より発刊されました。

 

先人を語る

 本書は、「現代日本の各分野を代表する碩学たちがどのように師や先人との関係に恵まれたのかを記録した文化的な営み」とされ、

8名の研究者が、その師・先人との関係を綴っています。

(丸山登上廣倫理財団事務局長「あとがき」より)

 

ここに、河合俊雄代表理事が「河合隼雄との三度の再会」と題した文章を寄稿しています。

 

父・河合隼雄との師としての「再会」を、京都大学、スイス時代、没後という、3回の出会いとして振り返ったこの文章は

近いとも遠いとも言い切れない微妙な距離感のからくりを「近親リビドー」という視点で捉えつつ

親子であり、師であり、同僚であった河合隼雄の姿を描き出しています。

 

また、同書には、河合隼雄の兄である河合雅雄氏も、「今西錦司先生の仲間たちと私」を寄稿しています。

ここでは、落語家を思わせる軽妙な語り口で、霊長類学の師である今西錦司を囲んだ研究者仲間たちのことが生き生きと語られています。

そこにあふれる熱気、厳しさ、個性のぶつかりあい・・・それらが京都大学自由の学風の礎となるサル学の系譜を作り上げていったのでしょう。

 

他にも、教育学、哲学、英文学、終局学、国際政治学、社会学・・・と第一線で活躍する研究者が

普段はあまり語ることのない身近な先人のことを語った貴重な書となっています。

ぜひご一読ください。