6冊同時刊行された河合隼雄セレクションのご紹介第1弾は
「出会い」の不思議 です。
この本は、2002年に出版された同タイトルのエッセイ集の文庫版です。
1997年~1999年に『中央公論』の巻頭言とし連載されていた第Ⅰ章「言葉との出会い」をはじめ
第Ⅱ章「人との出会い」
第Ⅲ章「本との出会い」
第Ⅳ章「子どものこころとの出会い」
第Ⅴ章「新しい家族との出会い」
第Ⅵ章「こころの不思議との出会い」
として、河合隼雄が各所に著してきた論考がまとめられています。
各章が短い論考の集積となっている形式は、最近話題になった『河合隼雄の幸福論』(PHP研究所)にも似ています。
代表理事・河合俊雄の解説で
「本領が発揮されるのは、著者がおもしろい素材に出会って、
生き生きとそれを紹介して、そこから見えてくるものを深めているときである」
と述べられているように、河合隼雄の本には、
「こんなオモロイもんあったで~」と、何か別の本や、他の人の言葉を紹介する形式のものも多いような気がします。
だからでしょうか、この本を読んでいると、別の本を読みたくなってきます。
現代は情報にあふれている一方、時間の余裕がありません。
Facebookの「いいね!」に象徴されるように、誰かのおすすめを通じてよいものにつながろうとする意識は
ますます強まってきているようにも思われます。
河合隼雄が読んでいる本の量には驚かされますし、
それらの本を読んでみても実際、難しくて刃が立たないかもしれないのですが、
それでも、そんなおもしろいことがあるのなら読んでみようかなと思わされるような
ひとつの「視点」を提供してくれるところが、この本のひとつの魅力になっています。
つまり、「河合隼雄の出会い」が、私たちにさらなる「出会い」を開いてくれる、
ともいえるのかもしれません。
下の創元社さんのリンクから立ち読みもできますので、ぜひのぞいてみてくださいね。