『河合隼雄の読書人生-深層意識への道』が岩波現代文庫より発刊となりました。
この本は2004年11月、シリーズ〈グーテンベルクの森〉の一冊として
岩波書店より刊行された『深層意識への道』を改題し、新たに河合俊雄の解説を付けて復刊されたものです。
河合隼雄がおすすめの本を紹介していく『河合隼雄の読書教室』(新潮文庫、2014年)とは
少し方向性が異なり、
Ⅰ 成人するまで
Ⅱ 海外に学ぶ
Ⅲ 日本おける心理療法
Ⅳ 深層意識の探求
と、河合隼雄が自身の人生を振り返る自伝的な一冊となっています。
人生の中で、本や物語がいかに河合隼雄の人生に大きな力を与えてきたのか、
河合隼雄がひとつの集大成として日本人論をまとめていくなかで実に多くの本に出会い、
それらが河合隼雄自身の物語を形成していくためにどれほど重要であったのかについて、
本書ではたくさんの写真と共に率直に綴られています。
「つまり河合隼雄は、物語を読み、そしてそこから生まれてくる物語を書いてきたことになる。
没後に「河合隼雄物語賞」を創設したが、
河合隼雄の思想の根幹にあったのは「物語」だと思われる」
(河合俊雄 「解説 西洋と日本の間の物語」より引用)
人生の物語をつむいでいく上で、どんな物語に出会い、どんな人に出会うのか、
そしてそれらの出会いをどのように自分の物語に織り込んでいくのか・・・
誰の前にもある人生の大仕事に河合隼雄はどう向き合ったのか。
より実感を残すため、話し言葉をできるだけそのままに書かれていますので、
「脱線気味のお喋り」(「著者あとがき」より)も含めてお楽しみください。