今年のお正月、NHK、Eテレの100分de名著のスペシャルとして、
100分de日本人論が放送されました。
出演は、松岡正剛さん、斎藤環さん、赤坂真理さん、中沢新一さん。
この番組は、各分野の第一線で活躍される方が、一冊を紹介し、
そこから日本人を考えていこうとする番組で、たいへんな好評を博しました。
松岡正剛さんは九鬼周造『「いき」の構造』、
赤坂真理さんは、折口信夫『死者の書』、
中沢新一さんは、鈴木大拙『日本的霊性』、
そして、斎藤環さんが河合隼雄の『中空構造日本の深層』を紹介し、
活発なディスカッションが行われたのですが、
その内容がついに
『別冊NHK100分de名著 「日本人」とは何者か? (教養・文化シリーズ)』として出版されました。
河合隼雄の『中空構造日本の深層』は、
(ものすごくざっくり言うと)日本神話の分析から、
日本人のこころの構造は、中心に「空」がある中空構造になっていることを指摘したものですが
中沢新一氏は議論の中で、第三項としての「空」の重要性に言及します。
二項対立だけでは世界はできない、
真ん中に空があるからこそ、対立する原理を自分の内に入れることができる、
そしてこのハイブリッド構造は、縄文人が倭人の文化を受け入れていったことにもすでに現れている、というのです。
詳しくは本書にゆずりますが、日本人論の核となる論が交差する地点で
どんどんと深められていく議論は必見です。
なお、この番組は、NHKオンデマンドで番組をご覧いただくこともできます(下記リンクよりどうぞ)。