河合隼雄著 『新版 こころの天気図』が発刊されました。

本書では、詩人・童話作家の工藤直子さんを聞き手として

河合隼雄がユング心理学をベースに、こころのしくみやこころの持ち方をわかりやすく語っています。

 

こころの天気図

この本は 毎日新聞に連載されていたものが1990年に毎日新聞社から単行本として、

後に三笠書房から文庫本として出版されていたのですが、

長い間絶版になっており、このたび、PHPエディターズグループのご協力により

新版として復刊されることになりました。

 

 

「私は、ユング心理学を学ぼうと決心し、関連する本を読むが、難しい。

(書き言葉でなく、話し言葉で聞ければなあ)と思い(そうだ!)と

河合さんに「聞き書き」をお願いしよう、と考えたのが、きっかけである」

(工藤直子 あとがき「「ワハハ」と「キッパリ」」 より引用)

 

この工藤さんのあとがきにもあるように、

本書は聞き書きというスタイルをとっているために、

ユング心理学をベースにしていながらも口語的で読みやすく、

かつ人生を自分らしく生きていくための知恵が詰まっています。

 

また、 「こころの天気図」というユニークなタイトルについては、

以下のように解説されています。

 

「「こころの天気図」というのは、言い得て妙なタイトルだと思われる。

こころというのは、第4章の「こころ 晴れたり曇ったり」という章題からもわかるように、

とても移ろいやすく、また「あるのかないのか、わからないのが心」という節があるように、

捉えどころがないものである。

著者は、そのこころの捉えがたさ、わからなさを巧みに伝えてくれる。

しかし「天気」でなくて「天気図」であるように、

そこにはある程度の構造や原理が見えてくるのであって、それを本書は示してくれている。」

(河合俊雄 〈解説〉「「こころの天気図」とこころの師としての河合隼雄」より引用)

 

 「こころ」とは、私たちの毎日の中心にあるにもかかわらず、とても曖昧なもの。

こころの動きはなかなかコントロールしがたくて、

悲しみに沈んだり、抑えきれない怒りに戸惑ったりということも稀ではありません。

そんなとき、ちょっと背中に手を触れてくれるような、そんな言葉があるだけで

ずいぶんと気持ちは晴れるものです。

 

こころを考える諸作品の引用も入っていますので

ぜひご一読ください。