村上春樹さんの自伝的エッセイ
『職業としての小説家』が
9月10日にスイッチ・パブリッシングから発刊されます。
村上さんが語る、小説とは、小説家とは・・・
そんな12章がつまった長編エッセイの最後の章、
第12章が「物語のあるところ 河合隼雄先生の思い出」となっています。
当財団が設立され、河合隼雄物語賞・学芸賞の創設記念の講演として
村上さんが語ってくださったもの、です。
この章のなかで、村上春樹さんは、河合隼雄と物語というコンセプトを
「物理的な実感」をもって共有していたと語っています。
ここのところは実際の文章をぜひ読んでいただきたいのですが、
村上春樹だから、河合隼雄だから、ということは置いておいて、
その文章は、人と人とが、具体的に、物理的に、こんなにもぴったりと何かを共有できることがあるのだと、・・・
感動するべきところではないのかもしれないけれど、なにか、心動かされるところです。
他人が何をみて、何を感じているかなどわかるはずもないのに、
きっと相手そう思っているはず、共有されているはず、という確信がもてるのはなぜなのでしょう。
人の心は不思議です。
なぜ人は物語を必要とするのか、そのあたりのことともかかわっているのでしょうか。
読書の秋、思索の秋、村上さんのエッセイを読みながらいろいろと考えをめぐらせるのも楽しそうです。