当財団のロゴマークは、画家・装幀家・絵本作家の安野光雅氏に描いていただきました。
安野氏は生前の河合隼雄と交流が深く、多くの著書の装幀を手がけられています。
ロゴマークと河合隼雄について、週刊朝日2013年1月25日号の安野氏のエッセイ「逢えてよかった」で紹介されました。
当財団のロゴマークは、画家・装幀家・絵本作家の安野光雅氏に描いていただきました。
安野氏は生前の河合隼雄と交流が深く、多くの著書の装幀を手がけられています。
ロゴマークと河合隼雄について、週刊朝日2013年1月25日号の安野氏のエッセイ「逢えてよかった」で紹介されました。
ふくわらい
西加奈子
審査員による総評
ユニークで圧倒的な言葉の力によって、
「物語」でしか成しえない世界を表現した。
「ふくわらい」のパーツがすべて集まったとしても、
なお語り切れない何かが立ち上がってくる作品である。
選考委員の上橋菜穂子氏による選評、受賞者の西加奈子氏のことばが
新潮社『考える人』2013年夏号に掲載されました。
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第一回の選考なので、選考会に臨むまで、小川洋子さん、宮部みゆきさんと三人で、
まずは、「河合隼雄物語賞」に相応しい「物語」とは何か、
その基本的な考えを擦り合わせることから始めなくてはと思っていた。
◇
しかし、実際に審査に入ると、作品そのものが、私たちの「物語観」を浮かび上がらせ、
ぐんぐんと、ひとつの太い流れへと導いていった。
◇
宮部さんがこの作品を「絵の具を厚く置いて、塗り重ねていったような」と表現しておられたが、
この作品は、そういう「言葉以外のイメージ」で表現しなければ伝えられない、
どう伝えてもこぼれてしまうものが残る、
「物語であることでしか命を持ちえない作品」であり、それゆえに、これを受賞作とした。
(上橋菜穂子選考委員による選評より引用)
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ナチスのキッチン
藤原辰史
審査員による総評
本書は食事の場が、政治と経済の主戦場になっていくプロセスを、
現代の食の風景の原型として描き出している。
自然と人間のちょうつがいの場所に関心を持ち続けた河合隼雄が、
論じるべくして論じなかった分野での冒険的な一作。
選考委員の中沢新一氏による選評、受賞者の藤原辰史氏のことばが
新潮社『考える人』2013年夏号に掲載されました。
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なにが選考の基準になるか。それは河合先生ご自身の人格と思想である。
◇
ではその思想とはなにか。これも難しい質問だ。
山極寿一さんが途中でぼそっと語られた言葉が決め手となった。
河合先生は人間と自然の間をつなぐ蝶番を探し、
それをみごとな言葉で表現することに努力された思想家なのではないか。
ゴリラ研究者ならではの卓見である。
◇
その結果選ばれたのが、藤原辰史さんの『ナチスのキッチン』であった。
食べることはセックスと並んで、人間と自然をつなぐもっとも強固な蝶番である。
◇
ナチスのキッチンを研究することは、自然=技術=政治を串刺しにすることであり、
そこで見えてきたことの多くは、ほとんどそのまま現代の私たちの生のありかたを照らし出す鏡になっている。
(中沢新一選考委員による選評より引用)
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第一回河合隼雄物語賞・学芸賞の選考会が京都にて行われ、授賞作が決定いたしました。
詳しくは「河合隼雄物語賞・学芸賞」のページをご覧ください。
※特定非営利活動法人 文化創造 および それに付随する河合隼雄公式サイトはこちらのサイトに統合・移転いたしました。