2014年7月4日(金)、京都市内のホテルにて
第2回河合隼雄物語賞・学芸賞授賞式が行われました。
第1回にキャンバスに置いた「点」が「線」になる第2回
河合俊雄代表理事の挨拶で幕が開きます。
音楽を愛した河合隼雄にちなんで
豊嶋泰嗣さん(ヴァイオリン)、小峰航一さん(ヴィオラ)によるミニ・コンサートが行われました。
モーツァルト
ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 変ロ長調 K.424
河合隼雄も大好きだった曲目です。
そしていよいよ、贈呈式。
今年の物語賞のプレゼンターは宮部みゆき選考委員。
角田光代さんに正賞・副賞が贈呈されます。
角田さんは、第1回受賞作『ふくわらい』を読んだとき、
作者が魂をつかって、しかもごしごしとつかって書いたような作品だと
衝撃を受けたといいます。
受賞作『私のなかの彼女』では、小説を書く女性が主人公でありながら
書く苦しみには全く触れられないまま物語が進み、
それがこのお話の魅力であると宮部さんは評されました。
ところが実際にはお話と異なり、
この作品を書いている間、
角田さんご自身はとても苦しまれたのだそうです。
その苦しみが少しでも魂を使ったことになっていればうれしい、
との受賞スピーチは
角田さんもまた、「魂をごしごしと」使う書き手なのだということを証明しているようでした。
続いては学芸賞。
中沢新一選考委員から
与那原恵さんに正賞・副賞が贈呈されました。
与那原さんはこの日のために新調された赤い紅型をお召しです。
(※紅型・・・琉球の伝統的な染色技法)
江戸時代に琉球から江戸へ向かう折、
京都で取り入れた技術を、琉球の人が独自に発展させたのが紅型であるとのこと。
ここにも鎌倉芳太郎、琉球の人々、与那原さんと京都の地・・・
たくさんの物語が重なります。
中沢氏の講評で、鎌倉芳太郎は寡黙で硬いながらも熱く真摯であったと評されたのですが
与那原さんもまさに、そのような方でした。
『首里城への坂道』は鎌倉芳太郎とウチナンチュ(沖縄の人)の物語であり、
同時に近代沖縄と沖縄学の系譜、さまざまなものを盛り込んだと言います。
謙虚でささやかながらも、
その言葉からは情熱がにじみ出てくるのでした。
河合隼雄は文化の発信地として関西での活動に重きをおいていました。
そのために、この授賞式も京都で開催しています。
授賞パーティーでは、京都にきてくださった受賞者、ゲストの方々へのおもてなしとして
鱧や鮎、さまざまな京野菜を使ってシェフが特別に腕をふるった京都の夏のお料理がふるまわれました。
写真は正賞の日の丸盆。
河合隼雄財団のロゴマークと受賞者のお名前が
職人の手によって刻印されています。
この賞がふたつの受賞作の物語に光をあて
ここからまた新たな物語が始まることを祈念します。