来る5月24日、第5回河合隼雄物語賞・学芸賞の選考会が開催されます。
重要なお知らせとは、河合隼雄物語賞の選考委員についてです。
賞の創設以来、ご尽力いただいてきた宮部みゆきさんが退任され、
ノンフィクション作家の後藤正治さん、
作家で第3回河合隼雄物語賞の受賞者でもあられる中島京子さんを
新たにお迎えする運びとなりました。
後藤正治さんは素晴らしい作品を多数生み出しておられるノンフィクション作家で
これまでに
『空白の軌跡―心臓移植に賭けた男たちー』で潮ノンフィクション賞(1985年)、
『遠いリング』で講談社ノンフィクション賞(1990年)、
『リターンマッチ』で大宅壮一ノンフィクション賞(1995年)、
『清冽 詩人茨木のり子の肖像』で桑原武夫学芸賞(2011年)と
数々の賞を受賞されています。
医療、芸術、スポーツなど多彩な領域に独自の視点から切り込んだ作品は
物語を通じて現実と私たちの体験を橋渡ししてくれます。
また、文化庁長官時代に河合隼雄にインタビューされたこともあるそうです。
(詳しくはこちらの記事を参照)
中島京子さんは、『かたづの!』で第3回河合隼雄物語賞を受賞された作家さんですが
この作品は同年、第4回歴史時代作家クラブ作品賞・第28回柴田錬三郎賞も受賞されています。
それまでにも『小さいおうち』で第143回直木三十五賞(2010年)、
『妻が椎茸だったころ』で第42回泉鏡花文学賞(2014年)、
『長いお別れ』で第10回中央公論文芸賞・第5回日本医療小説大賞(2015年)を受賞されるなど
華々しい受賞歴をおもちです。
話題作も多いので、それほど本を読まないという方でも中島さんの作品は
ご存じの方が多いのではないでしょうか。
「文学賞」ではなく、「物語賞」となっているように、
河合隼雄物語賞は作品の「物語性」を大切にしています。
新たなお二人の選考委員のお力を得て、
現代における物語とはどのようなものなのか、それがもつ力と豊かさについて
授賞作を通じて発信していきたいと思っています。
最後になりましたが
宮部みゆきさんには、明晰な洞察、物語への深い理解を通して
河合隼雄物語賞の船出を支えていただきました。
この場を借りて改めて心より御礼を申し上げます。
それでは、来週の選考の結果をどうぞお楽しみに。