7月3日に行われた第3回河合隼雄物語賞・学芸賞授賞式では
河合隼雄のフルートの師匠である、水越典子さんによるミニコンサートが開催されました。
河合隼雄は58歳から再びフルートを始めましたが、
その際、先生になってくださったのが水越さんだったのです。
今年のコンサートでは演奏に先立ち、水越さんより河合隼雄の思い出が語られました。
ご縁をつないだのは次男の幹雄。
フランス語の語学教室で一緒になった折り、
「親父くらいの年齢の人は教えますか?」と尋ねられ、
OKした水越さんはその「親父」が河合隼雄でびっくりされたそうです。
元々、河合隼雄の読者でいらした水越さんは、
「先生の先生」になることに躊躇もあったそうですが、
少年のような顔をしてやってきた河合隼雄と長く深いおつきあいが始まります。
河合隼雄は海外に行っている時以外、
どんなに忙しくてもレッスンに通い続けました。
僕の一時間は他の人の一時間と違うから、と本人が言っていたそうですが、
その集中力はただものではなかったとのこと。
そして、水越さんが自ら選曲された3曲
J.ドンジョン 「風の歌」
福島 和夫 「冥」
M.マレー 「ラ・フォーリア」
が演奏されました。
特に2曲目の「冥」は、フルートでありながらフルートを超えたような音色。
この世を超えたところへつながる風穴を開けるような音は
河合隼雄にもきっと届いたものと思われました。
本日(7月19日)は、河合隼雄の命日です。
毎年、命日には河合隼雄が亡くなった人との約束を決して破らなかったことを思い出します。
音楽の楽しさ、音楽の力をより多くの人に、という河合隼雄の遺志を受け継いで
毎年行われるこのミニ・コンサートが
河合隼雄の魂と我々をつないでくれるものとなっていることを願ってやみません。